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図1−1の運用場面でのこのエコーは、図1−8の波形になり、検波後はfのビデオ信号になってレーダーのPPI(Plan position indicator)指示器のブラウン管上に物標の映像が表示される事になる。この映像は、ブラウン管の中心から半径方向に掃引(スイープ)しながらレーダーアンテナの回転と共に時計方向に僅かに回転している電子ビームが、蛍光膜のほぼ同じ部分を数十回叩く事により描き出されるもので、蛍光膜の積分効果により明るさが物理的に増幅された表示になるが、詳細は第8項で解説する。なお、航空機用レーダーでは、テレビのように掃引して航路の前方の映像だけを表示するX−Y指示器を使用する装置も多い。
SARTを相手方とするレーダーの運用に関しては第3章で解説するが、レーダー指示器ブラウン管を取り囲む前面パネルには、映像を見ながらレーダーを操作する以下のツマミが配置されている。
一「レーダーレンジの切替」:
ブラウン管の半径方向で示されるレーダーで観測する最大距離を設定するもの。一例として、近距離設定の0.25/1.5NM(海里)に設定した場合は、自動的に送信パルス幅0.08μs、繰返周波数3000PPS,受信帯域幅20MHzに、3NMで0.2μs,2000PPS,20MHz、6/12NMで0.7μs,1000PPS,3MHz、24/48NMで1.0μs,750PPS,3MHz、120NMで1.0μs,500PPS,3MHzなどに切り替えられる。
一「受信周波数の調整」:
映像が表示されるように調整する。送信用マグネトロンの周波数の変動に合わせて自動的に調整するAFC(Automatic frequency control)が組み込まれているが、受信周波数を調整できるようにもなっている。
一「受信感度の調整」:
見たい物標の映像が見易くなるように信号対雑音比を調整する。
一「FTC」(Fast time constant):
距離方向に長いビデオ信号を微分して、重なったエコーを分離して映像表示させる。
一般的にはON−OFF方式を採る。
一「STC」(Sensitivity time control):
レーダーに近い電界強度の大きいエコーと距離のマイナス4乗で減衰する遠方の弱いエコーを映像上で同等の大きさ(明るさ)で表示させるために、ブラウン管の距離方向

 

 

 

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